2023年3月22日水曜日

《カライモブックスに集まろう》に寄せて――ありがとう/すみません/でもまた

◆《カライモブックスに集まろう――『さみしさは彼方』刊行&カライモブックス水俣移転 お祝いの一日》
 日時:2023年3月22日(水)14:00~19:00
 会場:カライモブックス
 https://karaimo.exblog.jp/32917072/
いまこれを書いているこの時間、〈カライモブックス〉現地では、上記の催しが行なわれています。
なにはともあれ、はじめに、この催しを企画してくださった大川原さん・大野さん・高橋さんに感謝の意を表します。ありがとうございます。準備・運営等お疲れさまです。
次に、このようなすばらしい催しが企画されたにもかかわらず、欠席する(している)ことをお詫びいたします。すみません。
そのうえで、以下、〈カライモブックス〉と私、私にとっての〈カライモブックス〉、について、簡単に、思いつくままに記してみたいと思います。雑駁な内容/文章になりますこと、あらかじめお断りしておきます。恐縮です。
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〈カライモブックス〉は、いまに至るまでずっと、自分にとっての「拠りどころ」の一つでした(一つ、ということは他はどこなんだ、と問われたら――、そうですね、〈町田ノイズ〉。あとはちょっと考える時間が必要です)。それは、知的生産活動のうえで、というだけでなく、精神的な意味でも、です。つまり、かけがえのない存在である、ということです。
第1期〈カライモブックス〉では、イベントをオーガナイズしてもらったり、イベントに参加させてもらったりもしましたが、やはり私にとって「かけがえのない」時間だったのは、特に用もなく立ち寄って(正確には自転車で乗りつけて)過ごす、なんでもない日常の時間でした。いま思い返してみても、その時間は、とても貴重で贅沢なものでした(ほとんどお金使わないのに)。
カウンターで、ドリップしてもらった珈琲を飲みつつ、軽くあぶった「かんころ餅」や手作りの「いきなり団子」を食べる。そして店主お二人や居合わせた人と、とりとめのない話をする。帰りに、100or200円均一の本か、水俣の食材or石けん(家で食べるor使う)を買っていく。そういえば、〈カライモブックス〉からの帰り道には〈西陣コープ〉(ずいぶん前になくなった)に寄るのがお決まりのコースでした。千本今出川近くにあった和菓子屋〈金時〉さんで買ったお菓子を差し入れに持って行くこともあった。自然と、そんなことも思い出します。
第2期〈カライモブックス〉には、自分が京都の外に引っ越してしまっていたこともあり、ほとんど通うことはできませんでした(申し訳ないです)。買い物はもっぱら通販(オンラインショップ)を利用するかたちに。それでも、本と一緒に同封されてくる『唐芋通信』やその他のフリーペーパー、イベントチラシの数々は、そこから得られる情報(量)以上に、精神的な「養分」として私の心と身体を潤して/活性化してくれました(そして時折挿まれてくるみっちん直筆の添え状に感動したり)。いうまでもなく、COVID-19以降の社会状況においては、その力はよりいっそう大きなものとなりました。そういう意味で、現地に行けない状況が続いても、自分にとっての「拠りどころ」という感覚が薄れることはありませんでした。それはいま現在もそうです。
さて、〈カライモブックス〉はこれから第3期ということで、距離としてはより遠くに行ってしまいます。しかしそのことで、自分にとっての「拠りどころ」という位置づけが変わるとは思えません。これまで通りオンラインショップも利用するし、レターパックライトに自分の書き物のコピーや関連イベントのチラシを詰めて送ったりもするし、そしておそらくたまには水俣現地に足を運ぶでしょう。それはやっぱり日常の生活の延長線上にある行為だし、これからもそうした(ふだん通りの)心持ち/接しかたで、〈カライモブックス〉とつきあっていくのだろうと思います。そう考えると、寂しい、というよりも、落ち着いた・穏やかな・楽しみな気持ちで、この移転のことを捉えることができます。
〈カライモブックス〉があったからこそ出会えた人たちも多くいます。そういう出会いの機会は少なくなるかもしれません。でも、まずは、(また)水俣で会いましょう、ということでよいのではないかと思います。水俣のお店まで行ったら、そこできっと新しい出会いもあるでしょう。びっくりな再会もあると思います。それを楽しみにしていればよいのではないかと。
ということで、今日現地で集えない私は、ずっと前に買っておいたのにもったいなくて下ろしていなかった、「明神の海トートバッグ」を下ろそうと思います。春の季節にぴったりなバッグですね。あと、本もまた注文します。
それではみなさん、楽しい交流の時間をお過ごしください。
2023年3月22日 村上潔